速読を身に付けたい人に勧めたい『遅読家のための読書術』




 

仕事辞めて入院中に思ったのが、「今のうちにたくさん本を読んでおきたい!」でした。

せっかく膨大な時間があるんだから何とか有効活用したいじゃないですか。

映画とか漫画とかもレンタル屋通ってめちゃくちゃ見ました。
映画に関してはもうほとんど観たいものがないってくらい観ましたね。時間があるって最高。

 

でも本だけはなかなか読めなかった。

時間はあるのに、読めない。

 

読書スピードがめちゃくちゃ遅いんです僕

本当に、壊滅的に。

1冊読むのにまじで1ヶ月くらいかかってしまいます。(読む日が少ない+遅い)

 

本を読むのは素晴らしいことだし好きだけど、でもそれだけに大切な時間を費やすのは勿体無い。

同じように悩んでる人も少なくないのでは?

 

そうすると決まって「速読を習得しよう!」ってなりますよね。

僕も色んなサイト見て、「どの方法がいいんだ…」って探したり、無料のトレーニングを試してみたりもしました。

効果がなかったわけじゃないけど、でもなんかそれこそ時間が勿体無いような気がしてきていつしか辞めてしまいました。

 

そんなある日、本屋さんで僕の悩みを解決してくれる1冊の本と出会ったのです。

それが『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』。

今回はこの本を読んだまとめのお話です。

 

どうして読むのが遅いのか?

僕は先ほども言ったようにめちゃくちゃ読むのが遅いです。

まず「そもそもなんで遅いのか?」というところにこの本は焦点を当てています。

 

熟読の呪縛

本を読む時に「この人の知識全てを1文残さず頭に叩き込むぞ…!」という風に力んでしまってはいないでしょうか。僕はまさにこれでした。

しかしこの熟読思考こそが読むのが「遅い」原因だったのです。

そうやって全てを頭に叩きこもうとする読書法は、時間がかかるくせに実は簡単に記憶からなくなってしまいます。
覚えた“つもり”になれるだけ。

 

「遅読家」とは読書への“真面目さ”を捨てきれない人のことを言うのです。

「本を速く読める人」と「遅くしか読めない人」がいるのではありません。

「熟読の呪縛から自由な人」と「それにまだとらわれている人」がいるだけなのです。

(書籍『遅読家のための読書術』より)

 

「1行」にめぐり合うために読む

熟読したところで、読んだ後に覚えているのは100%あるうちの1%程度です。

じっくり読み込んでも忘れるものは忘れます。
人の記憶なんてそんなもの。

つまり、読むスピードは理解度に比例しないのです。

だったらじっくり熟読することをやめて、自分が本当に必要としている「1行」に出会うために本を読む

それがこの本における一番重要なテーマです。

読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、

価値を感じられるような「1%に出会う」ことにあります。

(書籍『遅読家のための読書術』より)

 

フロー・リーディング

そこでこの本が推奨しているのがフロー・リーディングです。

「フロー(flow)」は「流れる」の意味。
つまり、本の内容が自分の内部を“流れていくこと”に価値を見出す読書法です。

音楽を「聴く」ことと、本を「読む」ことは似ているといいます。

音楽を聴くときを想像してみてください。
「歌詞を記憶しよう」「メロディを覚えよう」なんてことを考えながら聴く人はいないですよね。
頭の中を気持ちよく流れていく。
そこに音楽の価値を見出すはずです。

本も同じようにして読めばいいのです。

記憶しようとせずに、音楽を「聴く」ように「読む」

「インプットしなきゃ」という考え方を捨ててもっと本の内容が頭を流れることを楽しむのが、この本が勧めている読書法です。

 

流し読みのコツ

「読む目的」を明確にしてから読む

本を読み始める時には、まず「その本から何を得たいか」を明確にすることがとても大切です。

本を手に取ったからには欲しい知識や知りたい情報があるはず。
それを明確にした上で読書を始めましょう。

そうすることで求める情報をサーチし、いらない情報を飛ばしやすくなります。

 

目次は本の「地図」。熟読の価値がある

目次はその本のあらすじとも言える情報量を持っています。

章から小見出しまで目を通すことで、その本で伝えようとしていることの大筋がわかる。
まさに本の「地図」と言えるような、とても重要なものです。

間違いなく熟読する価値があるので、読み飛ばさないようにしましょう。

さらに僕の意見を言えば、タイトルや帯、背表紙なども熟読の価値があると思います

出版者は本を見た人に見ただけでその本の内容を伝えたいわけですから、そこを熟読することである程度中身が推測できます。

これらを熟読した上で、先ほど述べた「その本から何を得たいか」を自分の中で明確にし、本を読み始めましょう。

これをするのとしないのとでは理解度に大きな差が生まれてくるはずです。

 

小見出し単位で読み飛ばす

あとは目を流すように読んでいきましょう。

「何を得たいか」が明確であれば自然と気になるところに目が止まります。
目が止まるところだけ読んで、あとは小見出しごとにバンバン飛ばしてOK。
太字などがある本ならそれだけ読むのでもいいですね。

この点はある意味ミニマリズムとも言えるんじゃないかなと思います。

必要最低限の情報だけ探せばいいんですから。
必要としていない情報は、本当に知りたいことを知るためにはノイズでしかないのです。
効率重視で積極的に削ぎ落としましょう。

小見出しの最初と最後の5文を読むだけでも伝えたいことは案外わかります。

流し読みでも小見出しさえ読んでいれば小見出し間の「つながり」もだいたい見えるので、置いてけぼりになることもほとんどありません。

 

積極的に読み飛ばしていいもの

中でも積極的に読み飛ばすべきなのは「著者の自分語り」「体験談」、「具体例」などです。

話として読みたいなら読んでもいいですが、これらは商品差別化のために入れられただけのもので、作者が本当に伝えたいことはその前後で語られています

背景が知りたいとか、そういう理由がない限りは読み飛ばしても問題ありません。

 

まっすぐ読むだけが正しい読書じゃない

前にも述べたように、遅読家とは「読書への真面目さを捨てきれてない人」です。

まっすぐ読むだけが正しい本の読み方ではないのです。
意味のない読書へのこだわりを捨てて、もっとたくさんの本に出会える楽しい読書をしませんか。

 

「速く読める本」しか速く読めない

この読書法の弱点があるとしたら、「速く読める本」しか速く読めないという点です。

どういうことかと言うと、小説などのストーリーコンテンツやエッセイと言った、文章自体を楽しむようなものはこの読書法には向いていません

これらは文章の筋を楽しむものですから、読まなくていいところなど存在しないのです。

小説などはむしろゆっくりじっくり読み進めることこそが醍醐味なのではないかと僕は思います。
どうしても速く読みたいなら他の本気の速読法を習得してください。

この読書法に向いているのは、ビジネス本や自己啓発などの本です。

これらは読みやすいようにいくつかの章や小見出しに区切られていることが多く、さらに太字が多いのも特徴です。
見出しや太字が多ければ多いほどフロー・リーディングがしやすいので、あえてそういう本を狙って読むことでよりたくさんの本を読めると思います。

 

本と出会い、別れる

積ん読を整理しよう。本棚もミニマルに

本と付き合う生活を送るとどうしても向き合わなきゃいけないのが、「本棚」の問題です。

本棚に入る本の数には限りがありますよね。
どこかで処分しなくてはいけません。

ここでもミニマリズムが適用できると思うのですが、買ってから1ヶ月以上経っててまだ手をつけていないような本は思い切って処分しましょう。

出会った時が一番その本を楽しめるタイミングです。

時間が経つと「読みたい」という気持ちは薄れ、本の価値は腐っていきます。

本はインテリアやステータスではありません。
本を机や床に積み重ねて満足していませんか?

確かにあの光景はなんだか所有欲が満たされるようでイイものです。
僕もそうだったので気持ちはわかります。わかりますが。

しかしただ積まれただけの物理的な本に、何も価値はないということを知りましょう。

読まれてこその、本なのです。

覚えておきたいのは、処分したところでいつでもその本は読めるということ。

絶版にでもなってない限り本屋に行けば当たり前のように売ってて、またいつでも再会できるのです。

今読んでいないということは、今自分に必要ではない本なのだということ

何度も読みたい本や自分が本当に好きな本だけ残して、「積ん読」されている本たちと一度別れてみましょう。

そうすることで、自分が本当に読みたい本が何なのかわかったり、新たな本との出会いがより楽しみに感じられるようになりますよ。

ストック(貯蔵)をやめてフロー(流動)に切り替えることは、

「本の読み方」だけでなく、「本の管理」についてもいえることなのです。

(書籍『遅読家のための読書術』より)

 

まとめ

この本に出会ってフロー・リーディングを実行してから、1日1冊ペースで本を読むようになりました。

この本でも言っていましたが「読書は宝探し」です。

たくさんの本に出会い、それら1冊ずつからたった1行、自分の求めている文を見つけましょう。

その1行の集合体が、自分を形づくる糧となるのです。

 

さあ本屋に行こう。

読書はいいぞ。

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