『空き店舗があるんだけど、興味あるかな?』
2020年2月3日。
突然のメッセージだった。
間借りサンドイッチ屋ASOSANDでお世話になっていたゲストハウスwayaの経営者である、木村さんからの連絡だ。
正直、急すぎて何も考えられなかった。
でもせっかくいただいた紹介物件。
とりあえず、ひとつの経験として一旦見てみよう。ということで
「興味あります!」と返事をした。
そんな、ある日突然舞い降りたきっかけを、“とりあえず” 掴んでみた。
【2月3日】物件紹介
『了解!ちなみに、もし話進めるのなら2/14までに決断してもらうことになるけど、心の準備はできてる?笑』
いやいや、全くできてない。
今2/3ってことはあと10日で決断?
何度も言うけど急すぎる。というかそもそも情報が少なすぎる。笑
「もう少し情報もらえませんか?笑」
と返信し、物件の詳細を教えてもらった。
ざっくりまとめると、
『3階建の建物で一棟貸の宿泊施設として考えていたが、1階に喫茶店を入れても面白そうだという案が出た。』
という内容。
ふむふむ。
なるほど。
前の記事で一瞬書いたが、wayaの姉妹店にOTARU TAP ROOMという宿があって、そこの形式によく似ている。
そこは「泊まれるビアバー」と称して、1階にビアバーが入ったゲストハウスとして人気を博している。
それのサンドイッチ版、ということか。なるほど、確かに面白い。
とはいえまだ前向きではなかった。
結構狭めの間取りだったし、駐車場が広く取れなそうだし。
だから正直、第一印象は「うーーん」という感じだった。
でもまあ一旦見てみるか、ということで
「考えつつ、とりあえず内見してみたい。」
と伝え、2日後の2月5日に内見が決定。
【2月5日】内見
内見当日。
まだ真冬だったためものすごく室内が寒くて、震えながら見たのをよく覚えている。
聞くところによると元々も民泊として使用されていた物件らしく、がっつり住居感のある内装だった。
そしてやっぱりかなり狭い。
これをサンドイッチ屋にするだなんて、全く想像ができなかった。
しかし、改めて話を聞くと
・飲食居抜きではないけど家賃がかなり安い。しかも敷金ゼロ(と言うので食いついたけど後々結局必要に。笑)
・事業としてはサンドと宿で別だけど、宿側と共有するものは色々(ショップカードとか)折半もできるので初期費用が通常より大幅に抑えられる
・駐車場は1台だけならすぐ近くに借りられる
・1人でやるならむしろちょうどいい広さ
というメリットも続々と出てきた。
話を聞けば聞くほど、
「これ、もしかしてすごいチャンスなのでは?」
「この安さで始められる物件は今後ほぼ間違いなく出会えない」
という気持ちになってきた。
正直、直感だった。
直感的に「今逃してはいけないチャンスだ」と確信していて、この日のうちに、「ここでやりたい」という気持ちはほとんど決まっていた。
しかし、やりたい気持ちがぐーーんと急上昇していく中、その想いをある一定のところで鎮めるものがあった。
開業資金だ。
【2月13日】父への相談
ぼくの過去を知っている人ならある程度わかるかもしれないが、恥ずかしながらぼくはお世辞にもお金がない人間だった。
パン屋に就職したものの骨折で3回手術をし、貯金のないまま退職して旅に出て住み込みリゾバの放浪生活。
縁あって間借りサンド屋を始めてみたものの、週2,3回の営業では、実際のところ大した売上は上げられていなかった。
だから開業資金なんてぶっちゃけ全く貯められてない。
そんなときにこの話が来たのだ。
それでもどうしても、どうしても今、この機会を逃したくない。
「やりたい」けど「お金がない」という理由で諦めたくなかった。
内見をしてから1週間ほど、事業計画書や損益計算書、設計図などを毎日深夜までかけて自作して、開業イメージを膨らませながら「プレゼン準備」を整えた。
父に相談するために。
そう、ぼくは資金協力を父にお願いした。
結論から言うと、無事、父から資金協力を得ることができた。
当日の詳しいことはnoteに書いたので、気になる方は読んでみてください。
「それで、最近近くに物件が見つかって、そこで自分のお店をやりたいと思ってるんだ。」
と言うと、父は
『ほー、いいじゃん。やってみれば。』
とさほど間も空けずに答えた。
正直に言うと、この時点でぼくは泣きそうになっていた。
「やってみな」「好きにやりな」
という言葉は、母親から縛り付けられていたぼくにとって、あまりに有難かった。思わず溢れそうになった涙を堪えて話を続けた。
「それで、安く済むとは言ってもやっぱりお金は必要で、だいたいこれくらい。(家具見積もりのメモを見せながら)」
『へー、そんな安くできんだ。でどうやって集めんの』
「クラウドファンディングとか、日本政策金融公庫の融資も検討してるけど、できれば、支援をしていただけると、すごく助かる。」
『うん、いいよ』
「…いいですか」
『うん。』
「…ありがとう。」
思った以上にあっさりと承諾してくれて、言葉が出なかった。心の中で少し泣いた。
開業決断。
そんなこんなで無事資金面の問題をクリアし、2月13日の夜21時に、開業を決断。
物件紹介から丸10日という短期間で、泊まれるサンド屋「Hanke -Sandwich&Inn-」は急発進をしたのでした。
つづくかも、?
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